スポーツのドーピング問題を描く「イカロス」の原点

「イカロス」の監督のブライアン・フォーゲルはアマチュアのロードレーサーでした。彼の憧れの選手はランス・アームストロングです。自転車好きなら知っている選手ですし、自転車のことをよく知らない人でも、アームストロングの名前を聞いたことがある人はいると思います。

英雄アームストロングはドーピングをしたことが発覚し、人生が一気にどん底まで落ちてしまいます。ブライアン・フォーゲルはアームストロングのドーピング問題にショックを受け、「イカロス」というドキュメンタリーを作ることを決めます。
監督が「イカロス」を作るきっかけとなったランス・アームストロングとはどんな人物なのか?

「イカロス」の原点アメリカの英雄ランス・アームストロング

ランス・アームストロングは元々トライアスロンをやっていました。19歳以下のランキングで2年連続1位になるなど、トライアスロンでも若い頃から実力のある選手でした。その後、彼は自転車1本に競技を絞ります。

そしてアマチュアの自転車選手として1位になり、バルセロナオリンピックにも参加しました。アマチュア時代の活躍もあり、彼はプロ選手となります。プロになって2年目でツールドフランスに優勝してこの頃から実力を発揮し始めます。

さらに21歳の若さで世界選手権を制覇し、彼は世界的に有名な選手となりました。その後、数々の輝かしい成績を残しますが、1995年に癌を患っていることが発覚します。化学療法や手術などで癌と戦い、もう1度選手として戻ってきます。そして1999年なんとツールドフランスで優勝したのです。

 

ここから彼の快挙は始まります。1999年から2005年までの7年間ツールドフランスで優勝するという前人未到の記録を作ったのでした。彼はアメリカだけでなく、世界中で鉄人として扱われヒーローだったのでした。

ランス・アームストロングのドーピング発覚とその後の人生

癌から復帰して、7回もツールドフランスで優勝したアームストロングですが、2001年ごろから彼がドーピングしているのではという噂が出始めます。
しかしアームストロングはインタビューなどでこれを否定していました。

様々な噂が飛びかう中、2010年に元チームメイトのフロイド・ランディスがアームストロングが2002年からドーピングをはじめ常習者だったことを告白したのでした。それでもアームストロングはドーピングを否定しますが、次々と元チームメイトがアームストロングの行なっていたドーピングの詳細を語ったのです。

そしてついに全米アンチドーピング機関はアームストロングがドーピングを行なっていたとし、彼の1999年からのツールドフランス7連覇は取り消されてしまいました。このことがきっかっけで鉄人とされていたアームストロングは、一気に人生の頂点からどん底まで転げ落ちたのでした。

そして2012年8月24日、アームストロングは「永久追放」宣言を言い渡されています。

 

ドキュメンタリー「イカロス」で描かれるドーピングの実態

Netflixオリジナルドキュメンタリーの「イカロス」は、もともとドーピングをして自転車レースで優勝できるかということを実験するドキュメンタリーです。しかし途中でドーピングに協力してくれたグリゴリー・ロドチェンコフがロシアで捜査対象になってしまいます。

そこから急激に内容が変わっていった「イカロス」ですが、番組の中でロドチェンコフが実際に行ったロシアのドーピングについて詳しく証言していました。
今回は「イカロス」が暴いた真実について見ていきたいと思います。

なお、ロシアはこのドーピング問題により2016年のリオオリンピックでは出場停止、2017年の冬の平昌オリンピックではOAR(Olympic Athlete from Russia)として出場しています。

ロシアのドーピングを最初に暴いたドイツとWADAの捜査

監督でアマチュアの自転車レーサーでもあるブライアン・フォーゲルは、ロシアのアンチドーピング機関所長グリゴリー・ロドチェンコフの指示を受けながら自転車レースで優勝するためにドーピングを行っていました。その実験の最中にドイツのテレビ番組が、ロシアがソチオリンピックでドーピングを行っていたことを放送したのでした。

 

その番組をきっかけに世界アンチドーピング協会(WADA)が捜査に乗り出しました。アンチドーピング機関の所長でもあるロドチェンコフはWADAに捜査されることになります。尋問を受けたり、行動を監視されたりと自由に動けなくなっていきました。もちろんロシア側はこの事実を否定します。
しかしこの頃からロドチェンコフは自分の命の危険を感じ始めたのでした。

身の危険が迫るロドチェンコフ

ブライアン・フォーゲルの力を借りてアメリカに渡ることができた、ロドチェンコフですが、妻や子供をはロシアに残していました。家族のことを心配しながらもアメリカで無事に暮らしているロドチェンコフにニュースが届きます。それはアンチドーピング機関でともに働いていた友人が謎の死を遂げました。

ニュースでは心臓発作と言っていましたが、ロドチェンコフは友人から心臓が悪いなんて聞いたことがなかったと言います。この事件により自分の命の危険性をさらに感じたロドチェンコフはついに自分が関与していたドーピングに関して証言をすることに決めたのでした。

ロドチェンコが明かしたドーピングの手口

ロドチェンコフが証言した内容はソチオリンピックでロシアが行ったドーピングの手口でした。
ドーピングを検査する機関にロシアの政府関係者が出入りしていたこと、ロドチェンコフ自身がドーピングをしている選手を1回クリーンにした状態で尿を集めました。そしてその尿をオリンピック機関に行われた尿検査の尿と入れ替えたのでした。

この事実をニューヨークタイムズの記者の前で証言し、この記事が発表されたのでした。これを受けてWADAはさらに捜査をします。そしてロシア選手のリオオリンピック出場を停止することを発表したりしました。
しかしもちろんロシアは否定しています。プーチン大統領自身もスポーツが政治利用されていると声明を出しました。

ロドチェンコフはこの証言後、証人保護プログラムを受けて姿を消しました。もちろん今も保護されて怒火かで暮らしています。彼が命をかけてまで暴いたこの事実が、この先のスポーツの祭典をかえるきっかけになっていくことを願いたいです。

 

衝撃!スポーツ界の闇“ドーピング”を描いたNetflixドキュメンタリー「イカロス」

2017年にNetflixから配信されたドキュメンターリー作品の「イカロス」は世界で起こっているスポーツのドーピングについて描かれた作品で衝撃的な内容で話題になりました。第90回アカデミー賞長編ドミュメンタリー賞を受賞した作品でもあります。

世界中の人に夢と希望を与える祭典のオリンピックや各スポーツの世界大会が、政治に利用されていたといことが暴かれます。驚きと恐怖作品ですが、これが現実なんだと突きつけられる作品でもあります。

昨今ロシアの国家ぐるみのドーピング問題や個人のドーピング疑惑など、国やスポーツ界全体でドーピングに対する監視が厳しくなっています。2020年の東京オリンピックを前にぜひ、見ておきたいドキュメンタリー映画です。

Netflixドキュメンタリー「イカロス」の概要・キャスト

 

題名:イカロス/Icarus(2017年 Netflix)
受賞:第90回アカデミー賞でアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞
監督:ブライアン・フォーゲル
出演:ブライアン・フォーゲル/グリゴリー・ロドチェンコフなど

Netflixドキュメンタリー「イカロス」あらすじ

アマチュアのロードレースに参加したりしていたブライアン・フォーゲルはアームストロングに憧れたいたこともあった。アームストロングがドーピングをしていた事を知った時はショックだったと語っている。

そのブライアン・フォーゲルが「アマチュアでもドーピングをすればいい成績が残せるか?またドーピングしても見つからないのか?」というテーマを元にドキュメンタリーを撮影し始める。ブライアンはUCLAのオリンピック分析研究所の創設者のドン・カトリンに頼み、ドーピングを開始する。

しかしドンがドーピングに関わる事をやめたいと言い出し、彼は代わりにロシアのアンチドーピング機関の所長グリゴリー・ロドチェンコフを紹介してくれた。ブライアンはグレゴリーの指示のもと、徹底的に管理しながらドーピングを行っていた。

しかし自転車の故障などによりロードレースの結果は良くなかった。落ち込むブライアンだったが、次こそ頑張ろうと思っている矢先、ロシアの陸上選手に対するドーピングについてドイツの記者が暴いたのだった。

これによりグリゴリーは重要人物とされ、世界アンチドーピング機関によって尋問されたり行動を監視されるようになったのだった。そしてロシア国家から命を狙われる危険性が出てきたため、彼はブライアンの助けを借りてアメリカに渡る。

アメリカに渡ったグレゴリーは、ロシアが行っていた国家ぐるみのドーピングについて証言する事を決めたのだった。

最初はロードレースにドーピングで勝つことができるかという作品だったのに、途中からかなりの緊張感が伝わってくる作品になっています。この作品でオリンピックの裏で行われていた事を、世界中の人が知ることになった衝撃的な作品です。

 

共感度100%のNetflix「カーゴ」で淡々と描かれる「父親」の覚悟とその表現力

ゾンビ映画でありながら“父親と娘の物語”に徹している「カーゴ」は、実際に子どもを持っている人が観ると、より深く共感できる映画といえます。また、ヒューマンドラマやロードムービーの要素が強いので、ホラー映画が苦手な方でも感動ストーリーとして楽しむことができるでしょう。

親の子どもへの愛」という普遍的なテーマを異色のかたちで描いた「カーゴ」。実際に作品の中で表現する“父親の愛”を主人公アンディ目線でみるとその思いが伝わってきます。

この「カーゴ」の原作になったフィルムは7分という究極の短さ、しかもセリフなしで父親の愛を表現しています。(これ↓↓)

 

>>> Netflix「カーゴ」の概要・あらすじを見る

Netflix「カーゴ」あらすじ

人間をゾンビ化させるウイルスが蔓延し、社会が崩壊したオーストラリア。中年男性のアンディ(マーティン・フリーマン)は、妻のケイ(スージー・ポーター)とまだ赤ん坊の娘ロージーを連れて、川の沖合の船を安全地帯にして暮らしていた。

ところがある日、漂流ボートから物資をとろうとしたケイがボート内にいたゾンビに噛まれ、感染してしまう。アンディたちは船を捨てて地上に上がり、治療法を求めて陸地を移動するが、奔走むなしくケイは発症し、今度はアンディが噛まれて感染してしまうのだった。

自分が発症するまでの48時間のタイムリミットが迫る中、アンディはロージーを連れて旅をしていく。ところがなかなかロージーを任せられる人物や村・町は見つからず、時間だけが刻一刻と過ぎていく。

「カーゴ」の表現①:主人公アンディの視点でほとんどが進むストーリー

「カーゴ」のストーリーは、ほとんどが主人公アンディの視点で展開していきます。画面には常に彼の姿があって、彼が誰と出会い、どんな行動をしたかを辿るのがこの映画の本筋です。

広大なオーストラリアで人気のない場所を中心に逃げるということで、ゾンビ映画ながらゾンビはそれほど登場せず、ロージーを任せられる人物を探してさまようアンディと、彼が出会っていく生存者たちとの交流が一番の見どころとなっています。

崩壊した世界を生きる生存者たちは、暴力と欲に溺れていたり、妻子を抱えながらアンディと同じような境遇にあったり、一人で淡々と静かな生活を続けていたりと、人それぞれです。

アンディの視点からそんな世界を見渡すことで、視聴者の私たちも、リアルな文明崩壊の世界観に浸ることができます。

「カーゴ」の表現②:平凡な父親の「覚悟」と心情の変化

ストーリー的には淡々としている「カーゴ」ですが、その中で一番大きく変化が起きていくのが、主人公アンディの心情です。

妻が発症し、自分まで感染してしまうという残酷な現実の中、アンディは即座に「自分が発症する48時間以内に娘を託す人を見つける」と覚悟を決めます。

そこからの彼の変化は凄まじく、どちらかというと気弱な雰囲気だったアンディが、時には暴漢に立ち向かい、発症のときが近づくと「自分の目の前に肉を固定して、ゾンビ化した自分が肉につられて歩き続けるようにする」という状態を作ってまで、ロージーを伴って歩こうとします。

「自分の死」という恐怖に臆することなく「娘が生き延びる」ためにひたすら突き進んでいくアンディの「覚悟」が、この映画の一番のポイントと言えるでしょう。

異色のゾンビ映画「カーゴ」をぜひ一度ご覧あれ~。

「カーゴ」は主演キャストのマーティン・フリーマンの演技力が光る怪作

カーゴ」ではこれまでにあまり見られなかった演技を見せて、新境地を開いたマーティン・フリーマン。ほぼ主人公アンディの視点で描かれるこの映画は、フリーマンのリアルな息づかいが感じられる演技があってこそ良作に仕上がっていると言っても過言ではありません。
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個性派俳優の静かな演技が光る怪作「カーゴ」は、ゾンビ映画としてよりも、ヒューマンドラマとして注目したい一作です。そんな俳優マーティン・フリーマンについて詳しく見ていきたいと思います。

Netflix「カーゴ」主演:マーティン・フリーマン

「カーゴ」の主演を務めたのは、ハリウッドでも個性派俳優として有名なマーティン・フリーマ(Martin Freeman)です。

イギリス出身のフリーマンは、BBCの人気ドラマ「SHEROCK」のワトスン(シャーロック・ホームズの相棒)役や、ブラックコメディドラマ「FARGO/ファーゴ」のレスター役などで知られています。

また、最近では「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚を描く「ホビット」シリーズで主人公ビルボ・バギンズを演じて、世界的に大きな注目を集めました。2018年には世界的にヒットした「ブラックパンサー」のエヴェレット・K・ロス役で出演しています。

コメディ映画やSF映画、ファンタジー映画などで個性的な役を演じることが多く、顔立ちもどこかキャラクター的で不思議な魅力があるマーティン・フリーマンですが、「カーゴ」では「ごく普通の父親」という役柄を演じていて、逆に新鮮な印象を感じさせます。

派手さを排した等身大の「父親」の演技が光るマーティン・フリーマン

「カーゴ」でマーティン・フリーマンが演じる主人公アンディは、特別な力も何もない、ごく普通の中年男性です。どちらかというと頼りない雰囲気で、粗暴な他の生存者にいいように扱われたり、原住民アボリジニの少女と出会っておっかなびっくり接したりと、弱気な態度が目立ちます。

ところが、自分がゾンビ化するタイムリミットが迫り、娘の運命も自分にかかっているとなると、急激な成長を見せていきます。

そんな、「弱い部分も持ちながら我が子を守ろうとする父親」という人間くさい役柄に対して、マーティン・フリーマンは等身大の生々しい演技で臨んでいます。

クセの強い個性的なキャラクターを演じるマーティン・フリーマンを観てきた方にとっては、意外な印象を受けるのではないでしょうか。

Netflix「カーゴ」の映像描写で感じる制作背景とオーストラリアの魅力

異色のゾンビ映画「カーゴ」では、製作国オーストラリアならではの背景が見どころとしてうまく描かれています。雄大さと厳しさ、寂しさを併せ持った風景。そしてミステリアスでたくましいアボリジニの人々。オーストラリア特有とも言える要素によって、「カーゴ」の世界観やストーリーには、独特の奥行きが生まれています。

作品の制作された国の文化や背景、地理的な風景は作品の一部として一体化しているため少し意識して見ることで違った作品の魅力が見えてくるかもしれませんよ。

>>> 「カーゴ」を詳しく知る

そんな映像描写を通して見る「カーゴ」とオーストラリアの見方をご紹介します。

オーストラリアの背景から見る「カーゴ」のあらすじ

人間をゾンビ化させるウイルスが蔓延し、社会が崩壊したオーストラリア。中年男性のアンディ(マーティン・フリーマン)は、妻のケイ(スージー・ポーター)とまだ赤ん坊の娘ロージーを連れて、川の沖合の船を安全地帯にして暮らしていた。

ところがある日、漂流ボートから物資をとろうとしたケイがボート内にいたゾンビに噛まれ、感染してしまう。アンディたちは船を捨てて地上に上がり、治療法を求めて陸地を移動するが、奔走むなしくケイは発症し、今度はアンディが噛まれて感染してしまうのだった。

発症までの48時間のタイムリミットが迫る中、アンディは自分の死後にロージーを任せられる人を捜し求めて旅をしていく。やがて彼は、集落を抜け出したオーストラリア先住民アボリジニの少女と出会うのだった。

「カーゴ」の背景:壮大で寂しげなオーストラリアの風景も見どころ

「カーゴ」はジャンルとしてはゾンビ映画になりますが、ホラー要素は薄目で、ヒューマンドラマやロードムービーとしての色味が強くなっています。

そんなこの映画に欠かせないのが、物語の舞台でもあるオーストラリアの壮大な風景です。「豊かな大自然」というよりは「ひたすらだだっ広く、荒野や草原が混在している」といった様子の景色は、壮大さだけでなく、どこか寂し気な雰囲気も併せ持っています。

風景として美しいだけではなく、主人公アンディの先の見えない不安を表しているようでもあって、独特の切なさが生み出されているのが特徴です。

「カーゴ」のストーリーの鍵になる“アボリジニ”

オーストラリアの自然と併せて、ストーリー面で重要な要素になるオーストラリア先住民「アボリジニ」の人々にも注目です。

文明社会が崩壊した「カーゴ」の世界では、現代的な生活から民族の伝統的な暮らしに立ち返ったアボリジニの人々こそが最もうまく生き抜いている、といった情勢が語られています。

「民族衣装を着て槍でゾンビに立ち向かう」というのはなかなか珍しい光景ですが、インフラが崩壊しても生活を営めて、弾切れもなく音も出ない武器を扱える、という点を考えると、こういった人々こそが最もゾンビサバイバルの中で生き抜く力を持っているのかもしれませんね。

オーストラリアには「入植者たちがアボリジニを差別的に扱い、虐殺した」という暗い歴史がありますが、アボリジニたちがゾンビ化した白人たちを倒していく展開には、そんな歴史への皮肉も感じられます。

いかがですか?これらの背景を知って、映像描写の個性にも目を向けながら映画を観ていくと、また違った感想を持てるかもしれませんよ。

7分の感動フィルムが原作 Netflix「カーゴ」は異色のゾンビ映画が泣ける!

カーゴ」は、わずか7分間のショートムービーとして公開されたオーストラリア映画「Cargo」が元になっています。

ゾンビに感染した父親が赤ん坊の娘を背負い、人を探して歩き続け、やがて発症してゾンビ化すると目の前にぶら下げた肉につられることで背中の娘を襲わずに歩き続ける……というストーリーは、ほとんどセリフもない中で、これ以上なくシンプルに「父親の愛」を描いています。

 

世界最大のショートフィルムの祭典Tropfestでも大きな注目を集めたこの作品は、「ゾンビ映画」というジャンルそのものに新しい風を吹き込んだ画期的な傑作として世界中で話題に。1500万再生を超えるヒットを記録しています。

意外な展開で生まれた「カーゴ」は、原作の良さをさらにブラッシュアップして、異色ながら傑作のゾンビ映画として生まれ変わっています。ショートムービー版を一度観てから「カーゴ」の方に臨むと、「ここにこんな要素が加えられたのか」「ここでこのシーンが来るのか」と、どんな風に肉付けがされたのかが比較出来て面白いですよ。

Netflix「カーゴ」概要

 

題名:カーゴ/Cargo(オーストラリア 2017年)
監督:ベン・ハウリング、ヨランダ・ラムケ
原作:ショートフィルム「Cargo」2013年
キャスト:マーティン・フリーマン、アンソニー・ヘイズ、スージー・ポーター、カレン・ピストリウス

Netflix「カーゴ」あらすじ

人間をゾンビ化させるウイルスが蔓延し、社会が崩壊したオーストラリア。中年男性のアンディ(マーティン・フリーマン)は、妻のケイ(スージー・ポーター)とまだ赤ん坊の娘ロージーを連れて、川の沖合の船を安全地帯にして暮らしていた。

ところがある日、漂流ボートから物資をとろうとしたケイがボート内にいたゾンビに噛まれ、感染してしまう。アンディたちは船を捨てて地上に上がり、治療法を求めて陸地を移動するが、奔走むなしくケイは発症し、今度はアンディが噛まれて感染してしまうのだった。

自分が発症するまでの48時間のタイムリミットが迫る中、アンディはロージーを連れて旅をしていく。ところがなかなかロージーを任せられる人物や村・町は見つからず、時間だけが刻一刻と過ぎていきく、、。

「カーゴ(Cargo)」原作の監督コンビを起用して長編映画化

ショートフィルム「Cargo」に、オーストラリアならではの設定やより重厚な人間ドラマを加えて長編映画にしたのがこの「カーゴ」です。世界的にはNetflixオリジナル配信作品としてリリースされたこの映画ですが、作品の生まれ故郷オーストラリアでは劇場公開もされたそうです。

原作の「父親の愛を極限の形で描く」というコンセプトはそのままに、様々な人々の生き様を描くヒューマンドラマとしても、ゾンビだらけの世界を生き延びるサバイバルホラーとしても掘り下げられ、奥行きのあるストーリーに仕上がっています。

さらに、長編版「カーゴ」の監督を務めたのは、原作となったショートフィルムの監督であるベン・ハウリングとヨランダ・ラムケ本人です。「アイデアの光る良作を生み出した気鋭のクリエイターが、そのまま長編映画の監督というチャンスを掴む」というのは、とても夢がある話ですね。

 

硬派なキャストが集結した「スペクトル」は渋いアクション映画の仕上がり

目立つ大スターはいないながらも、堅実なキャストによって緊張感のある渋い空気感が生まれている「スペクトル」。ジャンルとしてはSF映画ですが、登場人物のキャラクター性と迫真のアクションが合わさって、まるで戦争映画のようなハードボイルドな雰囲気が漂う作品に仕上がっています。

硬派なアクション映画が好きな方には、間違いなくおすすめです。

Netflix「スペクトル」>>> 概要・あらすじを見る

主役はハリウッド注目の俳優ジェームズ・バッジ・デール

未知の敵と米軍の戦いを描く「スペクトル」の主演は、最近のハリウッドで注目を集めている俳優、ジェームズ・バッジ・デールです。
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これまでデンゼル・ワシントン主演の「フライト」やブラッド・ピット主演の「ワールド・ウォーZ」などに、短いながらも重要な役柄で出演してじわじわ知名度を高めてきた彼。ここ数年で「ザ・ウォーク」や「13時間 ベンガジの秘密の兵士」、「オンリー・ザ・ブレイブ」といった大作にメインキャストで出演し、ハリウッド映画ファンの間で顔が知られるようになっています。
またドラマでは「24 -TWENTY FOUR-」の3シーズンでは主人公ジャックの相棒のチェイス・エドモンズを演じていました。

ピンチの中でも冷静に事態に対処していく主人公クライン博士のキャラクターは、ジェームズ・バッジ・デールの落ち着いた雰囲気とマッチして、アクション映画の主人公として頼もしい雰囲気が生まれています。

「スペクトル」のメインキャストは硬派な実力派

主演のジェームズ・バッジ・デール以外にも、硬派な実力派キャストが集まっているのが「スペクトル」の見どころです。

エミリー・モーティマー/Emily Mortimer

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クラインをサポートするCIA捜査官は、イギリス人俳優のエミリー・モーティマーが演じています。「ヒューゴの不思議な発明」や「シャッター アイランド」、日本とアメリカ合作の「レオニー」など、ジャンルを選ばず活躍する演技派女優です。

マックス・マーティーニ/Max Martini

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他にも、クラインとともに最後まで戦い抜くセッションズ少佐役で、マックス・マーティーニが出演しています。ドラマ「ザ・ユニット 米軍極秘部隊」のメインキャストとして有名になり、他にも「サボタージュ」などで兵士役の多い俳優です。いかにも「ベテランの軍人」という貫禄が、頼もしさを感じさせてくれます。

ブルース・グリーンウッド/Bruce Greenwood

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また、モルドバの米軍をまとめるオーランド大将役で、ブルース・グリーンウッドが出演しているのにも注目です。リメイク版「スター・トレック」のパイク船長をはじめとして大作からマイナー作品まで数多く出演してきたベテラン俳優で、「スペクトル」でもここぞというときに存在感を発揮して、映画全体を引き締めてくれています。

あの日系俳優ルイ・オザワも登場!

さらに、アジア人兵士のチェン軍曹役で、日系アメリカ人俳優のルイ・オザワが出演しているのにも注目です。Louis Ozawa Changchien
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プレデターズ」に日本人ヤクザ役で出演し、あのプレデターと刀での一騎打ちを果たしたことで話題になった彼。当時は日本メディアの取材に流ちょうな日本語で答えていたため、日本のアクション映画ファンからも注目を集めました。

「スペクトル」ではやや地味な役どころですが、日本人としては嬉しいキャスティングですね。

Netflix配信ながらも圧倒的なスケールで魅せつつ、作品の雰囲気は硬派なアクション映画の「スペクトル」は、じっくりアクション映画に浸りたい方にはぜひ、見てもらいたい作品の一つです。

>>>「スペクトル」のアクション描写について詳しく知る

まるで戦争映画!?「スペクトル」の壮絶なアクション描写を紹介

主に米軍が活躍するということもあって、「スペクトル」の戦闘シーンは、本格戦争映画のような雰囲気が感じられます。大作映画並みのド迫力なアクション描写は、アクション映画マニアでもしっかり満足させてくれます。

SF映画やアクション映画、戦争映画が好きな方は、一度は観る価値のある良作です。

「スペクトル」あらすじ

東ヨーロッパのモルドバでは、反乱軍と政府、そしてそこに介入する米軍の戦闘が続いていた。ところが、ある時期から戦場には目に見えない正体不明の「何か」が現れるようになり、敵味方ともに大きな被害が発生していくのだった。

事態を重く見た米軍が「何か」の正体を解明するため、国防総省のクライン博士(ジェームズ・バッジ・デール)が現地に派遣される。クラインは「何か」の映像を捉えられる特殊なカメラを用いて、米軍特殊部隊の護衛を受けながら戦場に赴くのだった。

肉眼では見えず、ただ人体を通過しただけでその者を死に至らしめる「何か」によって一方的に蹂躙される米軍の部隊。クラインたちは甚大な被害を受けながらも、だんだんと敵の正体を判明させていき、ついには「何か」への対抗策を生み出す。ところが、「何か」の被害は彼らの対応を上回って拡大し、ついにモルドバの米軍全部隊と「何か」の全面対決が始まるのだった……

>>> 「スペクトル」の詳しい概要と作品解説を見る

「スペクトル」の恐ろしすぎる“何か”との戦闘

「スペクトル」の見どころは何といっても、目に見えない「何か」との戦闘シーンです。

 

肉眼では全く見えない「何か」は触れるだけで相手を即死させるほどの攻撃力を持っていて、突然目の前で仲間が死んだと思ったら次の瞬間自分も死んでいる……という一方的すぎる蹂躙は、思わず背筋がヒヤっとする恐ろしさです。

特殊なカメラやライトで姿が見えたと思ったら、その「何か」の姿はまるで「幽霊」そのもの……という展開も、敵の不気味さをより一層大きくしています。得体の知れない霧のような敵が建物の屋根や壁を駆けて迫ってくるシーンは、心臓に悪いハラハラした気分を感じさせます。

クライマックスのSFチックな決戦に注目

敵の正体を解明したクライン博士の武器は近未来的な雰囲気で、自動歩行するロボットなども登場して、味方の米軍が一気に頼もしくなります。大群で迫ってくる「何か」とそれを蹴散らす米軍の戦いは、手に汗握る展開の連続です。

幽霊と米軍が真正面からガチンコでぶつかり合う」という激アツなシチュエーションは、おそらくここでしか観ることはできません。ハリウッド大作と比べてもそん色ない戦闘シーンは、アクション映画好きにはたまらない見どころでしょう。

 

Netflixの本気オリジナル作品「スペクトル」で魅せた圧倒的なスケール

Netflixオリジナルの話題性を「アクション映画」というジャンルから支えた『スペクトル』は、今ではテレビ放送される海外ドラマや、劇場で公開される映画と比べてもそん色ない作品が溢れているNetflixオリジナル作品の1つです。

その成長期に大作映画並みの圧倒的なスケールを見せた「スペクトル」は、Netflixにおいて、単なるアクション映画以上に重要な存在となっています。また初期の映画には、広く知られていないまでも秀作が多く2015年~2016年の作品はぜひチェック!

>>> 2016年作おすすめ映画「ジャドヴィル包囲戦 6日間の戦い 」「Okja/オクジャ

Netflixオリジナル「スペクトル」概要・キャスト

 

題名:スペクトル/Spectral(2016年 アメリカ)
監督:ニック・マチュー
キャスト:ジェームズ・バッジ・デール、エミリー・モーティマー、ブルース・グリーンウッド、マックス・マーティーニ

Netflixオリジナル「スペクトル」あらすじ

東ヨーロッパのモルドバでは、反乱軍と政府、そしてそこに介入する米軍の戦闘が続いていた。ところが、ある時期から戦場には目に見えない正体不明の「何か」が現れるようになり、敵味方ともに大きな被害が発生していくのだった。

事態を重く見た米軍が「何か」の正体を解明するため、国防総省のクライン博士(ジェームズ・バッジ・デール)が現地に派遣される。クラインは「何か」の映像を捉えられる特殊なカメラを用いて、米軍特殊部隊の護衛を受けながら戦場に赴くのだった。

肉眼では見えず、ただ人体を通過しただけでその者を死に至らしめる「何か」によって一方的に甚大な被害を受けながらも、だんだんと敵の正体を判明させていくクラインたち。ところが、「何か」の被害は彼らの対応を上回って拡大し、ついにはモルドバの国全体、そして世界にまでその危険が広まろうとしていき……。

Netflixオリジナルの初期作品のひとつ「スペクトル」

「スペクトル」は、2016年12月にストリーミング配信開始と、Netflixオリジナルの中でも初期の作品のひとつです。

今でこそNetflixのオリジナル映画やドラマ、ドキュメンタリーやバラエティー番組が世界各地で大きな注目を集めていますが、Netflixがオリジナル作品制作の規模を一気に拡大させたのは2017年からでした。「スペクトル」が製作された2016年は、その準備期間にあたる年だったと言えます。

今では映画・ドラマファンに当たり前のように認知されているNetflixオリジナルが、2年前にはまだほとんど注目を集めていなかった……と考えると、ここ最近のNetflixの成長の凄まじさを感じますね。

アクションジャンルでNetflixの実力とスケールがわかる大作「スペクトル」

配信が開始された当時、「スペクトル」は洋画アクションのファンの間で大きな注目を集めました。

それもそのはずで、それまでは独立系メディアのオリジナル作品と言えば小規模なものが多かった中で、この「スペクトル」はまるでハリウッド大作のような超豪華な作りになっています。製作費も7000万ドルと、ハリウッドの1作品あたりの平均予算を上回る大規模なものです。

当時はNetflixがオリジナル作品制作の拡大を発表したばかりということもあって、1作にこれだけの製作費をかけて、さらにそんな作品を「これからどんどん増やしていく」と宣言したことは、多くのアクション映画ファンを驚かせたのではないでしょうか。

「スペクトル」はSFアクション映画として面白いだけでなく、Netflixの映画制作の実力や、制作会社としてのスケールを見せつけた1作と言えます。