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カンヌ映画祭グランプリ候補『戦場のメリークリスマス』あらすじ・キャストからのおすすめ度

 
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冒頭から、カネモトがオランダ人捕虜を犯したという突拍子もないところから始まる物語で見る者は感覚を狂わされます。たけし演じるハラの暴虐非道さと、ロレンスのコミュニケーション能力がどうにか物語を維持する感じになりますが、彼らもまた戸惑っていることが随所で見え隠れします。

支配する者、される者という現実的には圧倒的な差がある両者の関係性の中で、ヨノイとセリアズの関係性は性愛というキーワードの中で狂っていくのがたまりません。冒頭で捕虜を犯した軍属を厳しく断じたハラも上官の秘めたる気持ちには何も言えず、ロレンスに当たり散らすのも非常に日本の官僚チックで風刺が効いていると思います。

一番目立ったハラですが、作品中では日本的な組織論を一心に背負ったキャラクターとして描かれています。
命令通りに捕虜を管理し、時には厳しい言動をしますが終戦後は上官の責任まで背負って死刑台へ行くことを寛容に受け入れます。 ロレンスと最後に分かり合えたのも、良くも悪くも一番日本人的だったハラだからこそできたのでしょう。

 

映画「戦場のメリークリスマス」作品情報・キャスト

題名「戦場のメリークリスマス」(1983年)
原題:「Merry Christmas, Mr. Lawrence」
監督: 大島渚
脚本:大島渚
原作:ローレンス・ヴァン・デル・ポスト「影の獄にて
音楽(主題歌):坂本龍一「戦場のメリークリスマス」
キャスト:デヴィッド・ボウイ, 坂本龍一, ビートたけし, トム・コンティ, ジャック・トンプソン

 

「戦場のメリークリスマス」あらすじ

1942年、日本軍の捕虜収容所で起きた朝鮮人軍属による捕虜への性的虐待事件を発端に、捕虜のイギリス軍の面々と彼らを拘禁する日本軍人との間に産まれていく奇妙な友情を描く作品です。

基本的に従順な捕虜の中でセリアズ少佐だけは反発心を失わないことが、所長のヨノイ大尉は気になります。その意識はやがて戦場ならではの愛情も交えた複雑な感情を交える結果になっていきます。これらの異文化交流は日本語を理解するロレンス中佐と彼を理解するハラ軍曹を中心に描かれていきます。

 

彼らはぶつかり合いながらも、一緒にクリスマスを祝ったりと奇妙な連帯感を築いていくのですが、ヨノイはセリアズに対するよこしまな感情を中々受け入れられず苦しみます。ヨノイの心を乱したセリアズはやがて非業の死を遂げますが、終戦と同時にヨノイも自決。責任はハラに押し付けられます。事情を知っているロレンスは彼を訪ねますが、ハラは寛容に刑を受け入れる覚悟を決めています。

英語を勉強したというハラと最後に腹を割って語ったロレンス。ハラは最後に「メリークリスマス」と笑顔言って死刑執行を迎えるのでした。

 

映画「戦場のメリークリスマス」おすすめ度 ★★★★

映画を観たことがなくても坂本龍一が手がけたテーマ曲を知らない方は少ないはず。第36回カンヌ国際映画祭でパルムドール最有力候補といわれていたとのこと。(実際は今村正平の「楢山節考」が授賞。
坂本龍一は本作で英国アカデミー賞作曲賞を授賞し、作曲家として世界的に名を馳せるきっかけとなりました。ラストシーンのたけしとロレンスのやり取りがなんとも言えません。記憶に残る名作です。

映画賞受賞歴/戦場のメリークリスマス

第38回毎日映画コンクール戦場のメリークリスマス

  • 日本映画大賞
  • 監督賞:大島渚
  • 脚本賞:大島渚
  • 男優助演賞:ビートたけし

第7回日本アカデミー賞戦場のメリークリスマス

  • 優秀作品賞
  • 優秀監督賞:大島渚
  • 優秀助演男優賞:ビートたけし

第57回(1983年)キネマ旬報ベストテン戦場のメリークリスマス

  • 第3位

 

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