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製作費300万円の「カメラを止めるな!」が邦画界に与える影響

 
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邦画の歴史に新たなかたちでのヒット記録を刻んだ「カメラを止めるな!」。その功績は、今後の邦画界に様々な影響をもたらしていくでしょう。
この成功を参考に、邦画の発展に向けてどう活かしていくのか、そんな点にも注目していくと、興味深い気づきがあるかもしれません。

「カメラを止めるな」映画基本情報

監督・脚本:上田慎一郎
制作:2017年/ENBUゼミナール
原案:劇団PEACE「GHOST IN THE BOX!」
主題歌:山本真由美「Keep Rolling」
キャスト:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ 、 長屋和彰、細井学、市原洋 他

邦画で”低予算で大ヒット”という前例を作った「カメラを止めるな!」

海外では「製作費数百万円の自主映画が億単位の興行収入を記録」という成功例はいくつも生まれてきました。特に、アイデア次第で秀逸な作品を生み出しやすい「ホラー映画」は、アメリカンドリームのような逆転ヒット作を数多く輩出しています。

一方で「日本の低予算映画が予想外の大ヒットを記録」という話は、これまであまり聞かなかったのではないでしょうか。大作クラスでも興行収入に伸び悩む邦画界で、インディーズ映画が全国的な注目を浴びる、というのは、前例がなかったように思えます。

そんな中で、およそ300万円の製作費ながら30億円以上のヒットを飛ばした「カメラを止めるな!」は、邦画でも莫大な利益率のヒットが生まれることがあるという事実を証明しました。

そして、そのきっかけになったのが「SNSでの広範囲な口コミの拡散」です。大手メディアの宣伝がなくとも、一人ひとりの「個人」のつながりが大きなムーブメントを生み出す現代の可能性が、「カメラを止めるな!」からは感じられます。

映画作りの「低予算でもいい」という思考の罠とコスト

邦画界の新たな可能性が開けた一方で、「低予算でもヒットが生み出せる」という前例が生み出す弊害もあります。
「カメラを止めるな!」の製作費「300万円」という額を聞くと、これだけあれば色々なことができるように思えるかもしれません。

ところが、キャストとスタッフへの報酬、機材の購入費・レンタル費、設備や特殊効果の費用、映像の編集スタッフの報酬、その後のプロモーションのための活動……と考えると、とても300万円で1本の映画は作れないでしょう。映画には裏方含めて少なくとも10人以上が現場に関わる上に、高価なカメラや専門的な機材などは1日のレンタル代だけでも莫大なものになります。おそらく人件費を削り、キャストやスタッフが報酬を度外視で動く部分も多かったのではないでしょうか。

そうやって「映画への愛とやる気」によって作られた作品の成功例が、「なんだ、お金がなくたってヒットは飛ばせるじゃん」と捉えられてしまったら。創作の価値自体が低く見られたり、大きな現場でも過剰な「コスト削減」の流れが起こる可能性がないとは言えません。

「カメラを止めるな!」の成功例は、あくまでインディーズ映画ならではの自由度と情熱が生んだ、イレギュラーなものとして捉える必要があるのではないでしょうか。

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