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『天国と地獄』あらすじ・キャストからのおすすめ度(てんごくとじごく)

 
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黒澤明監督作品の中でも、特におすすめな作品です。原作はエド・マクべインの『キングの身代金』。この作品は脚本も大変素晴らしい。

気の毒としか言いようのないハードな選択を強いられる権藤ですが、他人の息子を助ける事を決意してからは、これまでにない生き生きとした表情を見せてくれ観ているこちら側も元気がもらえる。

ストーリー序盤はほぼ権藤の豪邸での密室劇であり、かなりの閉塞感が感じられたが、その後権藤が身代金を払う決意をしてからは、外の世界がパッと見えてくる。特に特急こだま内での疾走感あふれるスリリングなシーンは素晴らしく、深く印象に残る。人々は犯人が鞄を燃やすと牡丹色の煙が上がる様に仕組むなど、知恵を働かせ様々な工夫をする。例え無謀に思えた時にも、打つ手はいくらでもあるのだと勇気がもらえる。

ストーリー終盤ではこんな人が犯人だったのかと驚かされるが、その犯行動機を知ると呆れてしまうほど。しかしホラー映画の様なラストシーンの犯人の狂気じみた様子には心底ゾッとさせられ、許せないという気持ちが一気に吹っ飛ぶ。

映画「天国と地獄」作品情報・キャスト

題名:天国と地獄(1963年)
原作:小説 エド・マクベン(1959年)
監督:黒澤明
脚本:黒澤明、菊島隆三、
キャスト:三船敏郎 、仲代達矢 、香川京子 、佐田豊

天国と地獄 あらすじ/解説

大豪邸に住んでいる権藤金吾は、製靴会社であるナショナル・シューズの重役です。権藤には幼い息子純がおり、おかかえ運転手である青木の息子とよく遊んでいます。

ある日権藤の元に、息子を誘拐したとの脅迫の電話が掛かります。犯人の要求は3000万円もの身代金ですが電話を切った後、当の息子である純が現れました。どうやら犯人は子供を間違え、おかかえ運転手である青木の息子を誘拐した様子です。権藤は極秘で警察に助けを求めます。

再び誘拐犯から連絡があった際、犯人に子供を間違えた事を伝えますが、向うはそんな事は気にも留めていない様子です。また妻である怜子や青木は権藤に身代金を払う様、切に懇願します。確かに自社の株を買い占めて経営の実権を握る計画を企てていた権藤には、5000万円という現金がありました。しかしそれを使ってしまうと、会社を追われ全てを失う事になってしまいます。厳しい選択を強いられた権藤ですが、結局は青木の息子を助けるという決断を下します。

権藤は身代金を入れたカバンを持ち、犯人が指定した特急こだまに乗り込みます。青木の息子、進一の救出は見事成功。しかし身代金はまんまと犯人の手に渡ってしまいます。警察の公開捜査が始まり、また本人の証言も手伝って進一が監禁されていた場所が分かりました。そこではヘロイン中毒で死んだと思われる男女が見つかります。この様ないきさつから、竹内という貧しい研修医が怪しいという事になり、遂には犯人として逮捕されます。捕まった竹内は最後に権藤との面会を希望し、犯行に至った動機を述べます。

映画「天国と地獄」おすすめ度 ★★★★

映画公開後に都内を中心に誘拐事件が多発し、刑法を一部改正にするきっかけとなった作品といわれています。それほど当時はセンセーショナルな作品だったのかも知れません。
サスペンスとしても1級品ですし、それ以上に主人公と犯人の人間描写が優れた作品です。誘拐犯は若き日の山崎努が演じています。

映画賞受賞歴/天国と地獄

第18回毎日映画コンクール天国と地獄

  • 日本映画大賞
  • 脚本賞:黒澤明,菊島隆三,久板栄二郎,小国英雄

第37回(1963年)キネマ旬報ベストテン天国と地獄

  • 第2位

 

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